シンポジウム「駆除された野生獣を動物園の動物福祉に役立てる
2019/03/13
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開催趣旨
現在、日本各地でニホンジカやイノシシの急速な生息数の増加と生息域の拡大によって、農林業被害が生じているだけでなく、生態系や人々の生活にも被害がもたらされている。これに対応すべく、各地で駆除が積極的に進められているが、資源としての有効利用が課題となっており、特に小型の駆除個体の利用は限られたものである。
一方、動物園で飼育されている動物は、本来の生息環境と異なる環境で飼育されており、様々なストレスにさらされている。それを如何に緩和するかという動物福祉の問題を抱えており、様々な環境エンリッチメント活動が行われている。例えば、動物園において大型肉食獣は加工された筋肉片を主に摂取しており、本来の皮をはぎ、骨をかき分けて筋肉にありつく摂食とは異なる状況にある。近年欧米では、大型の屠体をほぼそのままの状態で与える「屠体給餌」が、環境エンリッチメントとして効果を上げている。しかし、国内においては流通上、入手困難でありほとんど行われていない。
本シンポジウムは、これらの地域の獣害問題と動物園における動物福祉の問題の解決に向けた試みを理解するとともに、両者の課題解決をつなげて問題解決を模索する試みについて議論を深めたい。
主催: 九州大学持続可能な社会のための決断科学センター
共催: 大牟田市動物園、Wild meǽt Zoo、九州大学大学院地球社会統合科学府
開催日時: 平成31年3月13日(水)10:00〜15:45
開催場所: 大牟田市動物園(レクチャールーム)
プログラム内容
〜講演セッション〜 10:00〜12:00、13:00〜14:30
司会進行:細谷忠嗣(九州大学持続可能な社会のための決断科学センター、Wild meǽt Zoo)・大渕希郷(科学コミュニケーター、Wild meǽt Zoo)
<開会の挨拶>
10:00〜10:05
椎原春一(大牟田市動物園園長)
<趣旨説明>
10:05〜10:10
「駆除された野生獣を動物園の動物福祉に役立てる 地域における獣害問題と動物園の動物福祉問題をつなぐ新たな実践活動〜」 細谷忠嗣(九州大学持続可能な社会のための決断科学センター、Wild meǽt Zoo)
<動物福祉>
10:10〜10:30
「動物福祉を伝える動物園〜環境エンリッチメントを用いた取り組み〜」 冨澤奏子(大牟田市動物園)
<獣害>
10:30〜10:50
「人口減少地域における獣害対策の現場から」 田川哲(島根県東部農林振興センター、Wild meǽt Zoo)
10:50〜11:10
「鳥獣利活用における動物園連携事業の意義」 西村直人(糸島ジビエ研究所、Wild meǽt Zoo)
<休憩>
11:10〜11:20
<屠体給餌>
11:20〜11:40
「屠体給餌における衛生対策」 細谷忠嗣(九州大学持続可能な社会のための決断科学センター、Wild meǽt Zoo)
11:40〜12:00
「駆除個体を用いた屠体給餌」 伴和幸(大牟田市動物園、Wild meǽt Zoo)
<昼食休憩>
12:00〜13:00
<動物園における教育活動>
13:00〜13:20
「見学者アンケートから見えること」 御田成顕(九州大学持続可能な社会のための決断科学センター)
13:20〜13:40
「動物園で屠体給餌を行うこと・見せることは必要か?〜科学コミュニケーターから市民への問いかけ〜」 大渕希郷(科学コミュニケーター、Wild meǽt Zoo)
13:40〜14:00
「台湾における動物園での教育活動の紹介」 張東君((財)台北動物園保育教育基金会)
<総合討論>
14:00〜14:25
進行:大渕希郷(科学コミュニケーター、Wild meǽt Zoo)
<閉会の挨拶>
14:25〜14:30
荒谷邦雄(九州大学大学院比較社会文化研究院)
〜屠体給餌セッション〜
ヤクシカ屠体給餌 14:45〜15:45
アムールヒョウ雌(ポン)とホワイトタイガー雌(ホワイティ)を予定
(16:30 閉園)
〜懇親会〜
懇親会(大牟田駅周辺を予定) 18:30〜20:30
定員30名。参加希望者は下記の問い合わせ先の細谷までメール等で事前にご連絡ください。先着順に参加を受付けます。
対象:一般公開(登録不要)、どなたでもご参加いただけます
参加費:無料(ただし入園料が別途必要)
入園料:大人370円、駐車場:無料
問い合わせ先:
九州大学 持続可能な社会のための決断科学センター 細谷忠嗣
Tel: 092-802-6046, 6047(教員室の共用電話)
Fax: 092-802-6056
E-mail: tadatsugu.hosoya.848@m.kyushu-u.ac.jp
本シンポジウムは国立研究開発法人科学技術振興機構(JST)フューチャーアース「環境・災害・健康・統治・人間科学の連携による問題解決型研究」および平成30年度九州大学QRプログラム「特定領域強化プロジェクト」の支援を受けて開催する。