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環境モジュール

環境モジュールで対峙する大きな問題は,様々なスケールにおける地球環境変動です.人類史上例を見ない近年の地球環境変動に対してどのような対策をとり、生物多様性などの自然資本の劣化を防ぐべきなのか? また,食糧生産・エネルギー供給と環境保全を両立させ,持続可能な環境利用をどう実現するのか?

2001~2013年における世界の森林減少(loss with > 10% canopy density). 出典:Global Forest Watch

地球環境変動の中でも一つの大きな問題が森林の減少・劣化です.我々環境モジュールでもこの森林問題が大きなテーマとなっています.主な舞台はカンボジアです. カンボジアの持続可能な森林利用を目標に,自然科学と社会科学の共同研究を実施します. カンボジアでは1992年のパリ和平協定以後,平和が戻り,日本の支援も受けながら国づくりが進んでいます. 国連暫定統治機構での明石康事務総長の貢献や,自衛隊のPKO 活動などにより,親日的な国です. しかし最近では日本の支援額を韓国・中国の支援額が上回り,道路・橋・ダムなどの建設では二国の貢献が目立っています. 一方で,開発に伴う森林減少が深刻化しています.先に経済発展をとげたインドシナ諸国では,経済発展に伴い低地熱帯林がほとんど消失してしまいました. カンボジアではまだ大規模な低地熱帯林が残っていますが,経済発展に伴い急速にゴム園などに変えられつつあります.

プランテーションのために開発される東南アジアの森林.この場所は国立公園であった.

カンボジアの低地熱帯林の保全は,地球温暖化対策のうえでも重要なので,REDD+(先進国資金により発展途上国の森林保全に支払いを行う国際メカニズム)のパイロットプログラムが実施されていますが, REDD+実現には森林面積監視技術の開発,資金メカニズムの開発など,自然科学・社会科学両面での研究開発が必要です. 九州大学はカンボジア林野庁と学術交流協定を結び,カンボジアの持続可能な森林利用実現を目標に, 森林の炭素蓄積・水循環・生物多様性のモニタリングや,REDD+に関わる社会科学的研究を推進してきました. しかし,究極的な問題解決のためには,人口動態やエネルギー需要まで視野に入れた研究と政策提言が必要とされています. このプロジェクトに大学院生とともに取り組み,カンボジアの持続可能な森林利用に向けての選択肢を探索し,実現可能な最善の政策と,社会的な合意形成の道を探ります. 連携先機関のカンボジア林野庁とは,森林の炭素蓄積や生物多様性に関する合同調査を行います. また世界的なNGOであるコンサベーションインターナショナルとは,調査に加えて,保護区設定に関する行政や住民との調整に関して連携します.さらに複数の国内外企業と協力して,REDD+実施に向けての衛星観測体制を整えます.

カンボジアで見られる「水田漁労」の原風景.日本でも本来「水田」は,炭水化物としてのコメ,タンパク源としての魚類,の両方を収穫する場であった.

もちろん,環境モジュールでの活動はカンボジアにとどまりません.たとえば屋久島世界自然遺産地域における生態系の管理と持続的利用 (獣害問題・入山税などの社会的課題を含む.環境省・林野庁・鹿児島県・屋久島町と連携),東・東南アジア広域における淡水生態系保全, 水田や里山の生物多様性保全と持続管理など,幅広く,しかし深く,活動を広げていきます.

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