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決断科学とは

「決断科学」とは,さまざまな不確実性の下で,価値観の多様性を考慮しながら最善の決断を行い,その決断を成功に導く方法論に関する科学である. この新たな科学は,複合的で不確実性を持つ現象についての洞察と俯瞰的理解,不合理性を伴う人間行動・心理の体系的理解, および地球環境と人類社会が直面する諸課題についての統域的理解によって成り立つ. 科学を基盤としてこれからの時代を牽引するグローバルリーダーには,専門分野における世界でトップレベルの研究業績に加え, 自然科学・社会科学を統合した問題解決型の新しい科学(統域科学 Trans-disciplinary Science)を開拓し, 適確な決断を通じて人類社会の持続可能性達成に大きく貢献する能力が求められる. 「持続可能な社会を拓く決断科学大学院プログラム」ではこの要請に応えるために,地球環境と人類社会の持続可能性に向けてのオールラウンド型科学として, 「決断科学」(Decision Science)を開拓するとともにその人材を育てることを本プログラムの目標とする.

1.社会貢献へのチームワーク

このプログラムは,先端的な研究を通じて専門分野のプロになるだけでなく, さまざまな社会問題の解決にも貢献したいという願いを持つ大学院生のために準備されました. このプログラムに参加する大学院生には,所属する専攻・研究室での教育に加えて,本プログラムが実施するセミナー・海外実習などに参加し, 学際性と統域性(さまざまな学際的知識を統合して社会問題の解決をはかるための体系化力)を実践を通じて習得することが求められます. したがって,本プログラムに参加する学生は,専攻・研究室での学習・研究と本プログラムでの学習・研究を両立させなければなりません. それは高いハードルですが,このハードルを超えるために,本プログラムではチームワークを重視します. 専門分野の研究と社会的問題解決の両方への熱い思いを抱き,一学年20名の仲間と協力しながら,より高く跳ぶために努力を惜しまない学生を求めています.

2.解決すべき5つの課題

私たちはいま,地球温暖化,大規模な災害,生活習慣病やがんの増加,グローバル市場の不安定性,国家間の対立など, 地球環境と文明社会の持続可能性を揺るがす大きな社会問題に直面しています.そしてこれらの問題はたがいに関連しあっています. このプログラムは,これらの社会問題の解決に貢献する新しいオールラウンド型の科学を発展させるとともに,その担い手として, 幅広い視野・知識・経験を持つ若いリーダーを育てることを目標にしています. このため,本プログラムに参加する学生は, 環境災害健康統治(ガバナンス)人間 という5つのモジュール(異なる分野の教員・大学院生による共同研究チーム)のいずれかに所属し, 学際的な研究テーマに関する国際共同研究とチーム共著論文作成に参加します.さらに,他のモジュールの研究成果を学び,5つの重要課題を俯瞰する力を身につけます. 国際共同研究のテーマとして,「カンボジアにおける持続的森林利用」,「国際災害調査」,「バングラデシュにおける疾病管理」,「糸島市・福岡市都市圏および韓国のガバナンス」 などを予定しています.これらの国際共同研究での現場経験を通じて,本物のリーダーになるために全力投球できる学生を求めています.

3.決断科学による知識の統合

専門・学際科学の成果を社会的な問題の解決に生かすには,多くの選択肢の中からひとつを選ぶ「決断(意思決定)」が必要になります. 本プログラムでは,このような決断を成功させるための新しい科学として「決断科学」を開拓し,体系化します.決断を成功させるには, さまざまな不確実性と価値観の多様性を考慮する必要があります.このためには,確率・統計の理解に加え,人間の心理・行動に関する体系的知識が必要です. 本プログラムでは,医学,心理学,生態学,経済学などの諸分野で研究されてきた人間の心理・行動に関する研究成果を体系化し,大学院生とともに論文・総説・教科書を出版します. 大学院生は「決断科学」を開拓する過程を通じて,社会的な問題の解決に向けてさまざまな分野の知識を統合する体系化力(統域力)を身につけます. このため本プログラムでは,人間を深く理解することを通じて,新しい次元の科学を開拓することに意欲のある学生を求めています.

4.広く深く学ぶ

このプログラムは,広く浅く学ぶためのものではありません.専門性・学際性・統域性を広く深く学ぶことを目標としています. 「多芸に通じる唯一の道は,まず一芸に通じることである」という観点から,各専攻における研究トレーニングを通じて, 専門分野のプロとしての実力を身につけることを重視します.このため,本プログラムが本格実施された段階では,本プログラムに参加する学生は, 外国人教員による英語論文作成指導,国際学会参加旅費支援などの,各専攻における研究トレーニングへの支援を受けることができます. また,学際的な国際共同研究や決断科学の開拓に参加するプロセスを通じて,さまざまな科学の考え方・アプローチを学ぶことは,専門分野の研究を深め, 独創的な成果をあげるうえでも,必ず役立つはずです.やれば何でもできるという気概をもって,広く深く学ぶことを楽しむ学生を求めています.

5.学問分野の垣根を超えよう

本プログラムには,既存の学問分野の垣根を超えて新しい科学を作ろうという意欲を持つプログラム担当教員が全学から参加しています. 私たちプログラム担当教員は,本プログラムに参加する学生の熱意を受け止めて,本プログラムが目標とする高い壁がこえられるように, 一緒に成長したいと考えています.説明会では,本プログラムの目標・計画をより具体的に紹介します.みなさんの参加をお待ちしています.