1. 研究テーマ

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1. 風媒花のサイズ依存的な生配分

◆ブタクサ Ambrosia artemisiifolia

雌雄同体の生物は、繁殖資源をオス機能とメス機能に投資する。この繁殖資源の投資配分のことを性配分と呼ぶ。個体のサイズに対する適応度曲線の形がオス機能・メス機能間で異なる場合、性配分はサイズ依存的に変化すると考えられている。風媒花の性配分は、しばしばサイズの増加とともにオス機能に偏ることが知られており、メス機能に偏る多くの虫媒花と対照的である。風媒花においてこのような性配分が生じる理由の1つとして、風媒花ではサイズ指標の一つである「草丈」の増加に伴うオス機能の適応度曲線の飽和がメス機能よりも遅いことが予測されてきた。これを証明するには、サイズとともに変化する草丈以外の効果(例:生産力の効果)を考慮した上で、草丈が大きいほど花粉散布範囲が広がり、オス適応度の増加が起こることを示す必要がある。本研究では、サイズが大きいほどオス機能に偏った性配分を示す風媒草本ブタクサAmbrosia artemisiifoliaの実験集団(N=44)において、マイクロサテライトマーカーを用いた父性解析によって1510個の種子の花粉親を推定した。次にこの父性解析の結果をもとに、重回帰分析によって生産力の効果を考慮した上で、草丈が花粉散布距離やオス繁殖成功に与える影響について評価した。その結果、草丈が高いほど最大花粉散布距離が伸びること、そしてオス繁殖成功が増加傾向にあることが明らかになった。その一方で、草丈と種子生産数の関連性を調べた解析では、種子生産数は草丈の影響を受けていないことがわかった。この結果は、草丈の増加がメス機能よりもオス機能に強く作用し、花粉散布範囲の拡大を通してオス繁殖成功の増加を引き起こすことを示唆している。これらの結果は、風媒花においてサイズ依存的な性配分が生じる条件(オス適応度が草丈とともに直線的に増加する傾向を見せる一方でメス適応度は草丈に依存して変化しない)を満たしている。この発見は、風媒花において高い草丈を持つ個体ほどオスに偏った性配分を示すという理論的予測を支持する新たな証拠を提示するものである。(Nakahara et al. in submitted)

 

2. 鳥類の生息地選択

◆カササギ Pica pica 

外来種は、在来生態系や人間生活に悪影響を及ぼすことがある。北海道苫小牧市周辺で現在急速に増加・拡大中のカササギは、1980 年代に侵入した外来鳥類だと考えられている。カササギは、小型鳥類の捕食や在来カラス類などの近縁種との競争を通じて,在来生態系へ悪影響を与える可能性がある。このように定着を遂げた外来種に対しては、その増加・拡大の原因を特定し、個体数制御等の対策を講じる必要がある。本研究では、カササギが定着している苫小牧市において、カササギの増加・拡大に関連している可能性のある営巣場所選択傾向について、営巣環境と営巣基質の 2 つの側面から調べた。営巣環境については、営巣場所を中心とした営巣エリアと、営巣場所から 100m 北の地点を中心とした対照エリアを設定し、各エリア内のカラスの出現数と樹木本数を記録し、比較した。営巣基質については、基質の種類や高さを測定し記録した。その結果、北海道のカササギは、樹木営巣と人工物営巣で営巣場所選択傾向が異なり、 樹木営巣の場合は、周囲の樹木が多いエリアを選択して営巣していたが、人工物営巣の場合は周辺の樹木の本数は選択に影響していなかった。カラスの出現数は樹木営巣・人工物営巣のどちらにおいても営巣場所選択に有意な影響を与えていなかった。また、営巣基質の高さと巣の高さは樹木営巣時よりも人工物営巣時の方が高かった。さらに樹木営巣においては、周辺よりも樹高の高い木に営巣していることから、樹高が営巣の有無に影響していることがわかった。これらの結果から、北海道のカササギの営巣場所選択は、周辺環境に応じて柔軟に行われていることが示唆された。(Nakahara et al. 2015, Ornithological Science)

 

◆ハイイロオウギビタキ Rhipidura albiscapa & タテフオウギビタキ Rhipidura verreauxi

ニューカレドニアで同所的に生息する近縁な2種のすみわけについても調べている。

ブタクサ

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カササギ

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ハイイロオウギビタキ

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タテフオウギビタキ

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